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2) ヒトiPS細胞からヒトの脳移行性を予測する実験モデルの開発

 薬物の脳移行性はBBBの機能に依存する。その機能を担っているのが脳毛細血管内皮細胞に発現するタンパク質 (密着結合タンパク質、トランスポーター、レセプター) である。動物のBBBの機能は明らかにされつつあるが、ヒトのBBBの機能はほとんど解明されていない。ヒトの脳組織の入手が困難であることに加えて、ヒトBBBの機能を調べる実験モデルが少ないことが原因である。

​ 私達は、この問題を解決するためにヒトiPS細胞から分化誘導した脳毛細血管内皮細胞を用いてヒトBBBの機能を明らかにする研究にチャレンジしている。ヒトiPS細胞由来脳毛細血管内皮細胞 (hiPS-BMECs) は、BBBの特徴である内皮細胞同士の密着結合性は強固に保たれており、かつBBBのバリアー機能を特徴づける様々なトランスポーター群、レセプター群が機能していることが明らかになり、この成果を国際誌に発表した。

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 今後、私達の目標はこの細胞を用いて下図のようなヒトの脳内を模倣した実験モデル (Neurovascular unit-on-a-chip) を構築することである。このモデルにより薬物のみならず生体内物質、毒物の脳移行性を知ることができ、さらに脳の疾患状態を予測するバイオマーカーの探索が可能になる。

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