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1) ヒトBBB細胞を用いた薬物の輸送機構解明​

 血液と脳を隔てるBBBには様々な輸送タンパク質(トランスポーターや受容体)が発現し、薬物の脳移行を制御している。BBBにおけるこれら輸送タンパク質の機能は、中枢作用薬の薬効並びに副作用発現や中枢神経変性疾患の病態形成と密接に関わっていることから、その理解は非常に重要である。

図1.jpg

 私達はこれまでに、中枢作用を有し、かつ高い脳移行性を持つ薬物に着目し、そのBBB透過機構について解析を行ってきた。その中で、オキシコドンやメマンチンといった薬物がBBBに発現する新規トランスポーターによって積極的に脳内へ取り込まれることを明らかにしている。

図2.jpg

 このトランスポーターの分子実体は未だ明らかになっていないが、薬物の脳移行性を制御する重要な因子の1つであると考えている。事実、このトランスポーターに認識される薬物の部分構造を脳への輸送ベクターとして用いると、BBBを透過しない化合物の脳移行性が顕著に増加することを見出している。

 今後、私達はこのトランスポーターを含めたBBBの薬物輸送機能を詳細に解析するとともに、以下のことを明らかにしていきたいと考えている。

・BBB輸送ベクターの開発と新規トランスポーター分子の同定

・薬効および副作用発現の個人間変動とBBB機能との関連

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